菩薩

カウチ・イン・ニューヨークの菩薩のレビュー・感想・評価

4.3
俺も遂にアケルマンの扉を開けるマンに…と言いたいが為にレンタル落ち格安VHSを買ったら案の定ゴミ画質のゴミだったのでゴミ箱にダンクして直ぐ様Amazonで衝動に身を任せたまま中古DVDを購入するアホみたいな散財をしたのだが、結果として大正解としか言えず狂喜乱舞している。

正直ワンちゃんが可愛すぎてワンちゃんが可愛い以外の語彙力が全て絶滅している今他に書くことも無いのだが、にしたってワンちゃんが可愛すぎてこれ以上にワンちゃんが可愛い映画なんて世の中に存在して…る?なら今すぐ教えて欲しい観るから。

色々とツッコミどころを探せばキリが無い作品であるが、ただこの映画のテーマは「素直になる事が幸せへの近道」だとか「愛とは誰かに何かを与える事」だとかの自己啓発セミナーみたいな物であり、生活・仕事・恋愛に疲れ切った二人をワンちゃんが繋ぐ素敵やん!ラブコメなのでもはや言う事は無い。

ビノシュがこうまで人に愛されるのは彼女の率直さ、何より共感力故であろうが、彼女は誰かに愛されるより誰かを愛する事を望んでいる人物、彼女に水をやられた植物は生い茂り、胃腸が悪く寝てばかりいたワンちゃんは飛び回るくらいの元気を取り戻し、彼女の似非セラピーを受けた患者共もみるみる内に元気を取り戻していく。

正直イメージしていたアケルマン作品とはだいぶ違うのだが、食パンが吹き飛ぶくらいの勢いで排出されるトースターとか、ルンバより先に自走を成し遂げた掃除機とか、レストランの客を挟んだアンジャッシュみたいなコントだとかいちいち面白い。

他人の心の扉を開け続けたビノシュが遂に自分の扉も開け放ち生垣を超え愛する彼の胸を飛び込むラストシーンの多幸感、それを見守るどうやって飛行機乗ったかは分からないワンちゃん、有無を言わせぬ問答無用の締め方すら好感が持てる。最高。
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