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千利休 本覺坊遺文のodyssのレビュー・感想・評価

千利休 本覺坊遺文(1989年製作の映画)
3.5
【茶道と死の哲学】

BS録画にて。
茶人の利休が太閤秀吉から切腹を命じられたことは有名な史実ですが、その理由については諸説ある。
この映画はその辺の事情を、戦国時代にあって日常的に死と向かい合って生きていた武士たちと、茶人の哲学とを、独特に関連づけて出来上がっています。

三船敏郎が利休というので、「三船ってったら、やはりサムライでしょう」と思ったのですが、これが案外合っているんですね。戦国時代に武士たちと死の哲学を共有して生きているストイックな哲人の役どころですから。

他の出演者も多彩。三船以外では、山上宗二役の上條恒彦がよかった。存在感があるし、あえて太閤にケンカをふっかける役ところが似合っています。

男だけのドラマだけれど、合戦シーンもあるものの、あくまでメインは茶道を介して人間の生き方を思索するところにある。予備知識なしで見たのですが、邦画には珍しい哲学性を備えた作品であることに、ちょっと意表を突かれました。
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