千年女優

この空の花 長岡花火物語の千年女優のレビュー・感想・評価

この空の花 長岡花火物語(2012年製作の映画)
3.0
かつての恋人であり現在は新潟県で教員を務める片山からの手紙に引き寄せられて長岡へと訪れた新聞記者の遠藤玲子。謎の女学生による舞台『まだ戦争には間に合う』を始めとする様々な不思議な体験を通して長岡空襲を始めとする戦争の記憶に触れる彼女が、現代の長岡花火へと繋がる物語を体感していく様を描いた大林宣彦監督作品です。

一貫して「人は誰しもが青春時代への追憶の奴隷」というテーマを追い続けて来た監督が大病と東日本大震災を経てその根幹である戦争へのメッセージを込めた作品で、その「想像力さえあれば戦争は起こらない」はあまりにありきたりで、想像力があっても、あるいは想像力があるからこそ戦争とその激化の歴史があるために疑問を感じます。

そんな陳腐なテーマを確証バイアスで集めた事実の羅列で説得する胃もたれがするような物語ですが、過去も虚構も現実もシームレスに目まぐるしく変わる映像のパワーがそれを上回ります。そのせいで肝心の長岡花火が際立たないのは残念ですが、『崖の上のポニョ』的なあるていすとおじいちゃんのイカれたビジョンに魅せられる一作です。
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