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アントニオ・ダス・モルテスのmareのレビュー・感想・評価

3.5
やはりグラウベルローシャの喧騒的カオスと瞑想的静寂のコントラストは唯一無二の空間作りだと感じた。さらにその異様さに拍車をかけているのがブラジリアンウエスタンとミュージカルの融合であり、ありふれた荒野の風景が狂気の無法地帯へと変わる。ただの殺し屋同士の一騎討ちではなく、情に突き動かされて本来とは違う立場に切り替わる展開があったり人間模様の移り変わりが面白い。ローシャは過去に「黒い神と白い悪魔」という作品を作ってるがそちらにもアントニオダスモルテスが登場する。なので作品としては一見繋がりが見えるが、今作ではアントニオが過去作とは異なった人格を持ち真逆の行動を取るのが印象的だ。そしてハイライトは最終決戦のシーンで、剣戟から始まり銃撃戦に転じるという他の西部劇映画では見られない戦いが鮮烈なインパクトを残す。
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