KnightsofOdessa

アントニオ・ダス・モルテスのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

4.0
[神に見放された男は遂に伝説へ] 80点

ブラジル北西部セルタンを舞台にした現代のウエスタンということで、多分フィリオ&ドネルス『Bacurau』の元ネタの一つだろう。同作でも意識されていた義賊(カンガセイロ)のランピオンという男が神格化され、多くの追随者が生まれた60年代ブラジルにおいて、農地改革を押し付けられた大地主側につくカンガセイロの殺し屋アントニオ・ダス・モルテスの巡礼の旅を描いている。前の作品のように重要なナレーションがフォークロアっぽくなっているなどの連続性を感じるが、カラーになったのも相まってカオス度が増している。敵味方が同じ画面に入り乱れ、記憶と現実と幻想が入り乱れ、人々は踊り狂い、ただ一人の流れ者であるモルテスは無言でカメラに向き直る。

なんて言えば聴こえは良いものの、内容としてはドンドンパフパフ~→ウギャーホギャー→全員が画面外に発砲→次のカットで全員死んでるみたいな唖然とする展開の数々に目が点になる。基本的にはそういった行間を省略しまくった観念的な展開しかないのだが、"神に見放された男アントニオ・ダス・モルテス"というアンチヒーローが自らの意思で民衆を助けるという展開はやはり胸アツなのではないか。

取り敢えずマルロス・ノブレのスコアは最強。踊りだしたくなる。
KnightsofOdessa

KnightsofOdessa