木野エルゴ

スニーカーズの木野エルゴのレビュー・感想・評価

スニーカーズ(1992年製作の映画)
3.0
爆発や銃撃戦、カーチェイスなどの派手な演出はほとんどない。しかしながら彼らがやっていることは盗聴、セキュリティの機能を逆手にとったセンサーの回避、セキュリティトークンのハッキング、アナログな視線誘導、ターゲットの監視、物理的侵入経路の確保など幅広く現実的である。それぞれの専門家が得意とする分野を持ち寄って一つの事を成し遂げる、まさにチーム戦の醍醐味が味わえる。

セキュリティをハッキングし脆弱性を報告するホワイトハッカーという設定や「誰が情報を握るかの戦争なんだ。見たり聞いたり働いたり、そして考えたりするのはすべて情報を得るための努力なんだ」という台詞が出てくるあたり、この脚本家は当時にしてはかなり先進的で正確に情報の重要性を理解していたんじゃないかと思う。

プロ然としすぎず、オーシャンズシリーズのようにセレブでもない。ナードな人間の集まりという感じのゆるい雰囲気のやりとりが面白い。何より役者が豪華。ロバート・レッドフォードとシドニー・ポワチエが並んでるだけで画面が成立する。多分10代のリヴァー・フェニックスが大物の中でちゃんと子どもをやってて可愛い。

敵キャラの悪になりきれない感じもこの作品には合ってる。未婚を貫き友人をずっと待ってたコズモ、忠犬のような凛々しく整った顔立ちのベン・キングズレーが演じるからより健気さが際立つ。「行くなよ!」と言うセリフがなんだか可愛く感じた。
木野エルゴ

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