ハレルヤ

オール・ザ・キングスメンのハレルヤのレビュー・感想・評価

オール・ザ・キングスメン(1949年製作の映画)
3.8
政治の腐敗を訴え続けて庶民を味方につけた野心家のウィリー・スターク。知事として当選を果たすも、自らも権力欲に溺れて独裁者のように変貌していく様子を、ジャーナリストのジャックの目線から描く社会派ドラマ。

かなり前から本作の存在は知っていて、昔はあんまり面白くなさそうと勝手に思い込み、ずっとスルーしてた作品。でも今でこそ逆に面白そうと考え直し初鑑賞。

今にも通じる政治家のグチャグチャな問題を取り上げた本作。最初こそは今の政治に対する不満をぶちまけて、自らが現状を打破するという意気込みで知事選挙に挑むスターク。落選を経験し、3度目の正直でやっと実を結んで当選。しかし権力を身に着けた彼は自分を見失っていく。

汚職のもみ消し、息子の飲酒運転による死亡事故、不可解な人の失踪、本人のみならず周囲の人間まで歯車が狂い、収集のつかないところまでボロボロになる。

記者の仕事を辞めてまでスタークの信念を信じていたジャックも、彼に愛想を尽かしていく。スタークの裏側は全て分からないが、映画ではジャックが見たものが全て。ジャックの立場がまさに観客の目線。見えるところでさえこの有様。見えないところでは更に悪事があったと思わされます。

これは昔のアメリカだけの話ではなく、今も変わらないし日本も対岸の火事ではない。権力と金に取り込まれたら誰でも同じような事に陥るというのを真正面から描いた作品。

本作でオスカー受賞のブロデリック・クロフォードの演技は完璧。前半の正義を訴えて庶民からの支持を集める様子から、後半の私利私欲にまみれ本来の姿からかけ離れた様子には驚かされました。
ハレルヤ

ハレルヤ