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フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラのYOUのレビュー・感想・評価

4.5
本多猪四郎が監督を務めた、1966年公開のシリーズ第2弾。
今作はこの前年に公開された『フランケンシュタイン対地底怪獣』の後日談ではあるものの、一部内容が繋がっていない事から現状は「姉妹編」として位置づけられているそう。開幕早々いきなり漁船を襲撃するのは、本シリーズ及び東宝怪獣特撮とも何かと因縁の深い例の大ダコ!更にその大ダコにいきなり勝負を挑み大暴れするガイラ!今作はこの冒頭からして前作とはかなり対照的な語り口だとは言えると思います。前作はあくまで「人間社会に潜むフランケンシュタインの悲劇性」にこそフォーカスが当てられており怪獣同士の決闘は最後まで温存されていましたが、一方今作の場合は割とハッキリ「怪獣同士のガチンコプロレス映画」に振り切っている印象を受けます。と言うのも今作は、前作で一応完結していた物語を既述した”特殊な立ち位置”を理由に半ば強引に引き伸ばした作品である為、やはり前作に見られた人間サイドの厚みあるドラマや批評性などは希薄化しています。ただこれらは一見ネガティブなようにも受け取れますが、個人的には「エンタメ性に重きを置いた2作目」としてこれはこれで十二分に楽しめる一作でした。少なくとも怪獣特撮映画としての興奮はこちらの方が高いです。前回の怪獣バトルは片方がただの人型だったので迫力やスピード感も一層増していましたが、今回に至っては完全に「人型vs人型」なので、他の怪獣映画では味わえないこれぞ”怪獣プロレス”と呼ぶにふさわしい野蛮で泥くさい戦いぶりが堪能出来ます。クライマックスなんて凄過ぎますよ。何が凄いって、コイツら一睡もせず朝方までずっとどつき合ってやがる!あと何より素晴らしいのはサンダとガイラの設定ですよね。話を伸ばしたことで人間ドラマが希薄になっていると述べましたが、それでもこの発想は実に秀逸だと思います。つまり今作の主人公はもう実質サンダとガイラなんですよね(笑)。「両者の元を辿ると実は・・・」というこの設定、個人的には『ガメラ 大怪獣空中決戦』におけるガメラとギャオスの関係にも通じていると思いますし、作り手はこの設定にこそ勝算があると踏んだのではないでしょうか。

諸々含めよりエンターテイメント性が増した今作ですが、自分は前作のエッセンスもしっかり受け継がれているように思います。前作における「アパートの窓から覗き込まれる」シーンは”異物としての不気味さ”によるショックも大きかったですが、今回は逆に、船の上からふと海面を覗き込むと、、、”ギャァァッ!”ここは何度観直しても新鮮に驚ける、またしても純怪獣映画的な興奮を呼び起こす名シーンだと思います。またガイラの空港襲撃シーンも強烈でしたね。今回のガイラは明確に人間を襲いますし、その残虐非道な暴力性や異物感込みの不気味さ含め前作以上のスリルを感じました。そして自分が前作で感銘を受けたもう一つのポイントである「お気の毒感」も全編に配されています。個人的にそれをもの凄く感じるのは同じく空港襲撃シーンでの「日光を嫌うガイラが慌てて海へと逃げ去る」という描写、ここでのガイラの先程とは打って変わった何とも言えない無力感と不憫さが個人的には堪りません。一方で今回のあまりに唐突かつ粗雑なラスト、前回の大ダコと言い”締めはいい加減”というのも受け継いではいますね。他にも強引な展開やツッコミどころは多々見られますが、それでも個人的には大満足だった前作を更に凌駕する勢いで好きな作品となりました。まあ自分は『フレンチ・コネクション2』をベスト10に入れている人間ですから、こういうタイプの2作目がそもそも大好物なのかもしれません。格式ある一作目とはまた違う、血湧き肉躍るような力強い傑作!一言で言えば「最高の怪獣映画」です!









































































































































目下進行中のモンスターバースは、第3弾にして早くも『三大怪獣 地球最大の決戦』を実現させてしまった訳ですよ。批評的には賛否両論でしたが、既にあの難題を済ませているのですから、中途半端に終わるくらいなら自分は批判覚悟で『FINAL WARS』まで突っ切って欲しいですし、あわよくばその道中でハリウッド版『サンダ対ガイラ』も観てみたいです。コングのバランスを考えれば、サンダとガイラも結構カッコよくなると思うんだよなぁ。
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