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フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラのぴんじょんのレビュー・感想・評価

3.9
懐かしきトラウマ・シリーズ。

このシリーズを見てトラウマになってしまったという人はけっこうたくさんいるようですね。

僕が子供時代に見てトラウマになったのは、この作品の前作、『フランケンシュタイン対地底怪獣』のほう。

あれは怖かった。

村の劇場で見たときは、保育園児か小学校低学年ではなかったかと思うのですが、これ以上怖いものはないってほどでした。

その後、当然のように本作も村の劇場(公民館だったかな…)で公開されたわけですけど、そのチラシを見ただけで怖くて怖くてとても見に行けませんでした。

そして、40年以上の時を経ての、今回の鑑賞。

そりゃ、僕も大人になっているわけで、子ども時代のような恐怖を感じることはありませんでしたが、やっぱり、モンスターのグロテスクな造形や、全体の暗いトーン、あの時代独特のどこか毒々しいカラーなど、やはり「子供時代に見なくてよかった。」と胸をなでおろしました。

本作は、完全に前作の続編的なつくりのようで、前作で地底に消えて行ったフランケンシュタインの怪物が実は生きており、しかも、そのちぎれた細胞が復活してさらにもう一体の怪物が生まれてしまっていたという設定のようです。

それにしても、フランケンシュタインの人造人間というよりも、新種の生命体というか、プラナリアのような生命体と言うべきか…。
フランケンシュタインという呼称はちょっと違うよな、と思わせます。

しかし、この怪物、前作の続編であるにもかかわらず、造形は一層怪物色を強くしており、全身毛だらけ、人間よりも猿人という感じです。

容貌もガイラの方は人肉を食らうという凶暴な性格が良く出ていますが、サンダの方は、前作のフランケンシュタインの怪物時代よりも崇高な風格のある風貌となっています。

立ち居振る舞いも、まるで山の神と言ったところでしょうか。
サンダとガイラという呼称は山(サン)と海(かい)なんでしょうね。

海に住むガイラの方が悪いのは、海幸彦山幸彦の故事から来てるんでしょうか。

冒頭の巨大ダコ、ラストの海底火山など、唐突で伏線も収斂もないストーリーにもかかわらず、それなりに楽しめるのは、ひとえに、暗く物悲しい雰囲気にあるのでしょう。

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