垂直落下式サミング

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラの垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

4.5
『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』の姉妹編。
フランケンシュタインの怪物の細胞が分裂して、善の心と悪の心に分かれてしまう。山で育った温和な性格のサンダと、海で育った凶暴な性格のガイラとなって、東京を舞台に大迷惑な兄弟喧嘩を繰り広げる。
本作のサンダとガイラの兄弟は、初代ゴジラの身長の半分ほどと比較的小柄な怪獣であり、その身長にあわせてつくられた大スケールの精巧なミニチュアを舞台にして繰り広げられる人型巨大怪獣の格闘と、それに対抗する自衛隊の新兵器「メーサー殺獣光線砲車」周辺機器のリアルな描写が本作の見所となっている。
雰囲気としては、モダンホラー、スラッシャーホラーの流れを組むような作品で、何が怖いって走ってくるサンダの姿だ。あんなにでかいのに機敏な動きで駆け回り、腕をのばして人を捕まえて、そのまま食ってしまう。知能が高くて二足歩行の状態で走ることができる人食い生物などが実際にいたら、ひとたまりもないだろう。
本作で初登場したメーサー車は、パラボラアンテナのデザインと発射時の演出が最高で、平成の『ゴジラXメカゴジラ』にも歴史的資料として登場するほどの人気。前作ではあまりにも唐突だった大ダコも、今度はちゃんとストーリーの邪魔にならないよう配慮されている。
ハリウッドからはラス・タンブリンをゲストとして招いており、佐原健二や水野久美など東宝特撮映画俳優陣も当然総出演。力の入った一本だったということがわかる。
最近この映画のタイトルを目にしたのは、実写版『進撃の巨人』がかなりの期待をもって迎えられ、見事に散っていった時。「平成のサンダ対ガイラとなるか!?」みたいな触れ込みをよく読んだ気がするが、まあ、主に秘宝関係の雑誌なんだけど、あれは町山フリークにとっては辛い踏み絵だったな。