うにたべたい

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラのうにたべたいのレビュー・感想・評価

3.9
"フランケンシュタイン対地底怪獣"の姉妹作。
元々続編として企画されていましたが、シナリオの決定稿段階で別作品にすることになったそうです。
そのため別作品なのですが、"フランケンシュタイン対地底怪獣"を引きずったような部分があります。
タイトル通り2体のフランケンシュタインの怪物「サンダ」と「ガイラ」が激突する話なのですが、一体は幼年期に人間に育てられていたという設定になっており、"フランケンシュタイン対地底怪獣"のボーエン博士と助手の戸上君ポジションの人々も登場します。
博士役がニック・アダムスでないのは少し残念。
また、本作でも大ダコが現れますが、前作ラストで唐突に現れた大ダコは伏線にせずに、2作連続で唐突に巨大なタコが現れますが、そこについてはスルーですね。
うーん、タコに何かこだわりがあるのでしょうか。
あるいは前作のタコと本作のタコは同一の怪獣にするつもりだったのか。

ストーリーは、その巨大タコに船が襲われるところから始まります。
船を捨てて海を泳ぐ乗組員ですが、タコに続いて現れた巨人に、ほとんどの船員は食べられてしまいます (あんまりタコ関係ない)。
フランケンシュタイン研究の権威であるスチュワート博士と、かつて博士と一緒にフランケンシュタインを育てた戸川助手は、「大人しくて素直なフランケンシュタインが人を襲うはずがない」と否定します。
彼らが育てたフランケンシュタインと人を襲ったものは別個体で、二大フランケンシュタインがぶつかり合うシナリオとなっています。

前作では、"悪魔の研究で作られた不死の心臓から生まれた怪物" ということで、フランケンシュタインというのも納得なのですが、本作で登場する二体の怪物はそういった説明がないため、"フランケンシュタイン"と言われて納得できる感じでは無いです。
前作は巨大化する過程も丁寧に描かれていたため、巨大な人間の不気味さも感じられましたが、サンダとガイラについては2体の人型の怪獣というのが正しいと思います。
現に海外版では"フランケンシュタイン"とはしていないそうです。
サンダ、ガイラ共に全身体毛に覆われていて、しばしば顔のアップが入るのですが、これがとんでもないブサイクです。
怪獣も愛らしさというのはなく、ただ不気味。
こんな奴が、逃げる人を捕らえてムシャムシャ食って服だけ吐き出すシーンはもはやトラウマものです。
この場面は諫山創が参考にして進撃の巨人を描いたということでも有名ですね。

特撮も素晴らしいです。
サンダとガイラの戦闘シーンは、人型の怪獣同士の戦いということで迫力満点です。
また、本作ではメーサー兵器が大活躍します。
メーサーが怪獣を瀕死まで追い詰めて、全身傷だらけにします。
メーサーってこんなに有能な兵器だっけ?と思ったら、本作はメーサーが初めて登場する特撮映画らしいです。
メーサーのインパクトが十分なので、以後、他の特撮でも使われるようになったのも頷けます。

ただ、ラストはちょっと唐突感がありました。
余韻も何も無く、最後まで見届けることなく"終"という文字が画面に出ます。
これはきっと大ダコの伏線がここで発揮して、海の大怪獣である大ダコが全部海の底に引きずりこんでしまったの違いないと思うのですが、どうでしょう。