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フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラのElasticReflexのレビュー・感想・評価

4.1
本多猪四郎、41本目の監督作品。特技監督:円谷英二 脚本:馬淵薫、本多猪四郎 撮影:小泉一(本編)、有川貞昌、富岡素敬(特撮) 音楽:伊福部昭

高度経済成長期の日本を舞台に、持てる者と持たざる者の戦いを描いた怪獣映画。

前作での人間の怪物性を問う様な社会派な作風から一転、純粋なモンスターパニックものとして作られています。その分、テーマの深みには欠けますが、リアリティ満点の怪物描写にただただ圧倒されます。映画冒頭から船舶と船員に襲い掛かるガイラ。とにかく怖い。造形、演出、演技、特撮。どれをとっても素晴らしい。中でも、羽田での唐突な出現、それによって醸し出される絶妙な異物感と恐怖感は白眉です。思わず「こっわ」と声が出てしまいました。本作は市井の人々や軍事作戦も丁寧に描かれるため、全編を通し、この様な緊張感とリアリティが貫かれます。

存在を一としながら、サンダとガイラはその性質を大きく違えていますが、その違いを幼少時に受けた愛情の差によるものとし、"人間性"と"怪物性"の所在を浮き彫りとする脚本も見事。

また、ガイラは前作の"彼"であると、そこはかとなく匂わされますが、もし、そうだとするならば、執拗なまでに人間を襲うガイラの悲しみと絶望には涙を禁じえませんでした。

海底火山の爆発に暗示されるのは、科学技術への警鐘か、はたまた自然への賛歌か。ゴジラシリーズが失った全てが詰まった傑作。
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