ガブXスカイウォーカー

フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラのガブXスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

5.0
十数年ぶりに鑑賞。やっぱ田中友幸(製作)×円谷英二(特技監督)×本多猪四郎(監督・共同脚本)×伊福部昭(音楽)の怪獣映画はいい! 大満足だよ!

クールビューティな水野久美(『怪獣大戦争』、『マタンゴ』など)はじめ見所だらけなのだけど、やはりバトルが圧巻! 初期のゴジラシリーズのバトルは良く言えば重厚、悪く言えばちょっとかったるいが、今作や前作『フランケンシュタイン対地底怪獣』(1964年)などはスピーディで荒々しいバトルを展開する。例えば、自衛隊のメーサー殺獣光線車の光線が森林を薙ぎ払いながらガイラを追い詰めていくシーンは特撮、本編、音楽、そしてガイラ役の中島春雄のアクションが一体化し、盛り上がる!
さらに、クライマックスでは、巨大な銀座の街のセットで、ガイラを迎え撃つ自衛隊、サンダ対ガイラの決戦などをこれでもかと見せつけてくれる。決して最後まで目を離させない!

また馬淵薫(木村武)の脚本(今作は本多猪四郎監督と共同脚本)にも注目したい。馬淵は『空の大怪獣ラドン』(1956年)、『ガス人間㐧1号』(1960年)など、怪獣、怪人の哀しみを打ち出した作品が多く、今作もまた二体のフランケシュタイン=怪獣には哀愁が漂っている。本能で人を食うガイラを怒るサンダ(サンダは人間の味方なのに自衛隊に敵視されているのがまた切ない)、肉親同士とも言える二体が決別し、文字通り殺し合うドラマを壮絶な怪獣バトルとして描いて見せる。

残念な点を言えば、ラストシーンであろう。怪獣映画のラストは、怪獣たちがもみ合ったまま海に落ちてENDと言う唐突な物が多い。余韻があるしこれはこれでありなのだが、本作でもまた何の伏線もなく突然、海底火山が噴火し、サンダ、ガイラは巻き込まれて幕を閉じる。今作は『ゴジラ』(1954年)、『空の大怪獣ラドン』のような、人間達によって排除される怪獣の悲哀に満ちたラストが似合っていたと思う(海底火山噴火は自衛隊がサンダとガイラを抹殺するために引き起こしたものにするとか)。

とは言え、『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』は怪獣映画の傑作であることには間違いない。その影響は後の実写版『進撃の巨人 』二部作(2015年)などでも色濃く見て取れる。サンダとガイラはゴジラやガメラなどと違い、醜悪でとっつきにくいビジュアルだけど、興味を持たれた方はレンタル、または配信などで、古き良き時代の怪獣映画の素晴らしさをその目で確認してほしい。