故ラチェットスタンク

マトリックスの故ラチェットスタンクのレビュー・感想・評価

マトリックス(1999年製作の映画)
4.5
『Leap of faith.』

再鑑賞してもやはり新鮮!素晴らしいです。
初鑑賞時よりも感性が成長しているからなのかより面白かった。
映像はやっぱ劣化するけど画素が低いので持ってる。

緑がかった色彩による世界観表現
スマートかつ柔軟に纏まった映像表現
当時の世情から監督の作家性が抑えられたが故のキャラとテーマのバランス感覚
キアヌとキャリーの中性的な顔立ちも黒光りする衣装もとてつもなくフォトジェニック

名作映画にはよくある事で、設定が新鮮な上に、情報伝達と引き立てに必要な画が詰まってるので、全フレーミングに説得力がある。

ひとつひとつのアクションシークエンスの起承転結と尺配分、そして物語とのシンクロ率も奇跡的な融合度
クライマックスで「信じること」というテーマへと綺麗に繋がる。

「ファイト・クラブ」同様、当時の陰鬱とした社会への風刺もあるのだが、今になっても語られるのはやはり圧倒的な普遍性があったからだと思う。

オリジナル以降で評価が割れちゃうのは、大枠のエンタメの中に落とし込まれるストレートな普遍性の強さが、宗教的な部分とか世界観入れ込みすぎて見えづらくなってしまったからかもなって感じた。

でも作家性全開で自由にやれてたならこのバランス感覚は実現できなかったと思うし、ここまで気にいることもなかったと思います。
結局私が求めていたものは「私たち向けにチューニングされたマトリックス」であって、「ウォシャウスキー姉妹のマトリックス」では無かったんだなと申し訳ない気持ち。

バレットタイムも好きだけど結局一番好きなのは”Dodge this.”