ヨミ

マトリックスのヨミのネタバレレビュー・内容・結末

マトリックス(1999年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

前に観たとき同様、面白いんだけどいまのところ激ハマりという感じはない。ただ、面白いのは確か。

多分、この時代のインターネット観/感を共有できてないんだと思う。公開時に乳幼児だったので、物心ついたときにはインターネットがあり、ギリZ世代的なコンピューターへの視線と、それ以前のコンピューターへの視線は異なるのだろう。

すごく感じたのは「2択」ということ。象徴的な「赤いピル/青いピル」に始まり、冒頭での「遅刻をやめるか/会社を辞めるか」など、随所で「2」ということが意識される。それは勿論コンピューター的なバイナリーのイメージなのだろう。
本作での虚構について。ボードリヤールのシミュラークル社会を参考にしたものの、ボードリヤールに理解が間違っていると言われたって話を聞いたことがある。真偽は不明だが。まあ、仮にそれがフェイクだとしても、それは確かにその通りだなとは思う。シミュラークルってそういうことじゃない気がするぞ、とは思う。現実と虚構の現代における等価性とかそういうことの話じゃないのかな。
ただ、そういう瑕疵は些細なもので、止めて回るカンフーアクションとか、スローモーションやCGの多様、サイバーパンクとも異なる世界設定の秀逸さとか、この映画が当時の観客に与えたインパクトは凄いのだろう。それこそ、『スター・ウォーズ』でスター・デストロイヤーが手前からスクリーンに出現したときの当時の観客の衝撃と、映画史のなかで重なるのではないか(それはきっと、『ラ・シオタ駅の列車の到着』への驚きとも重ねられるだろう)。

あと、裏切りのシーンで裏切ったひと(名前忘れた)がトリニティの身体に触って「前から好きだったぜ」とやるシーンだが、トリニティがネオにキスするのも同じ論理(昏睡中の相手への接触)だからどっちもだめじゃねなどとは思う。同意、大事。
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