ちょげみ

マトリックスのちょげみのレビュー・感想・評価

マトリックス(1999年製作の映画)
4.3
 私たちが見ている世界は実は確固としてそこに存在しているわけではなくて、実は夢や幻かもしれない。
 人類を電池として飼育している機械(単一意識としてのAI)とコンピュータが生み出す夢の世界から覚めた人間との戦いである。支配とそれからの解放、現実と夢、虚構と事実、リアルとイマジナリー、そんなことが主題になっている。

主人公たちは真の自由を勝ち取るために戦い続けるわけだが、狭い居住空間、まずい食事、常に敵に追わせ続ける生活、いつ自由を勝ち取れるかわからない戦い、に飽き飽きしてくる仲間も出てくる。そこまでして自由を勝ち取る意味があるのか、支配されているとわかってても元の夢の世界に戻った方が良いのではないか、極限生活になると登場人物たちの自由に関する考え方の違いが浮き彫りになり、仲間内にも、おそらく見えないけれど亀裂が入ってくる。
裏切り行為をしていたのは実際は一人だけだったけれども他の船員もそこに対していろいろ思うところはあったのではないか。救世主のために自分を犠牲にするリーダー、愛のために、ネオのために戦い続けるトリニティ、そして主人公ネオの成長。物語を通してこれらのキャラクターの関係性が変化して行くところはなかなか楽しめた。

 壮大な世界観の構築、バリュエーションに富んだカンフーや武術を使った肉弾戦、見応え抜群の銃撃戦、マトリックスは名前だけ知っていて初めて見たのだが、想像とはいい意味に違って面白かった。

「自由?これがお前が選ぶ自由か?」

「わたしはここが大嫌いだ。この監獄、この豚小屋、この現実」

「いずれ君もわたしのように分かるようになる。道を知っていることと歩くことは違う。」

 
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