しゅむ太郎

マトリックスのしゅむ太郎のレビュー・感想・評価

マトリックス(1999年製作の映画)
4.9
むちゃくちゃカッコいいしむちゃくちゃ面白い。
アクション性と当時からは考えられない高度な映像技術(CG)から哲学的テーマまで終始圧倒された作品であった。これが1999年に作成された映画だとはにわか信じ難い。

個人的に好きな考え方である「シミュレーテッドリアリティ」を盛大に盛り込んだテーマである。
本作品において、多くの人々が生きているのは「仮想現実(マトリックス)」の世界であり、現実である実世界は既に変わり果てた姿へと変貌しているのである。
その現実世界に気付き生きている少数の人々が人知れぬ戦いを繰り広げている。
その過程もすごくリアルで、世界観が精密に作り込まれているため、鑑賞しながら様々な思考を張り巡らせることができる。

本作品は上記のようないかにもSFな世界観を採用しているが、
その実、現実問題として、私達が仮想現実のいう考え方を反証することは困難である。私達が現実を生きているという証拠はどこにもないからだ。
この問いには多くの哲学者が向き合ってきた歴史があるが、完全に立証はできていない。
ルネデカルトの「我思う故に我あり」という有名な哲学的な解があるが、あくまで私達が立証可能なのは、自分の知る世界の中で私という存在が在るということだけなのだ。

非常に個人的好みに刺さる世界観の作品であった。