ぺむぺる

マトリックスのぺむぺるのレビュー・感想・評価

マトリックス(1999年製作の映画)
2.0
4Kシネマにて中学生のとき以来の再鑑賞。熱烈なファンとはいえないまでも、初見時に少なからぬ衝撃を受けたのは事実で、そのうえ当時の世間の熱狂を肌感覚で知っているものだから、疑いようもなく“傑作・重要作”との認識で過ごしてきたのだが…。改めて見るとダサい、ダサすぎる!

クサめの演出は言わずもがな、キリストを思いきりなぞる救世主誕生の物語に心からドン引いてしまった。キリストという存在やキリスト教の信条を腐すつもりは毛頭ないのだが、「運命の子」の説得力を、シナリオやキャラデザや演者の魅力に負わせることなく、安易に、しかもこれみよがしに既存の物語から引っ張ってきていることが恥ずいのだ。〈支配からの脱出〉であるはずなのに、結局はこうした物語に絡めとられてしまうあたりも(別のものに“支配”されているようで)、話としてうまくないなーという感じがする。

そもそも中二感満載の映画であり、目玉は仮想現実のアイディアとドンパチアクションのケレン味だと承知のうえで鑑賞したつもりだったが、それにしてもパンピーモブの扱いがひどい。冒頭の警官皆殺しはどうということなかったのだけど、物語に沿えば沿うほど彼らこそ救済すべき人類なのだとわかってくる。彼らが仮想現実とはいえ築き上げてきた人生や、脳内で交わされたであろう愛情や友情や真心が、一顧だにされず「目覚めし者たち」にぶち殺されていく様には、余計な正義感がムクムクと起き出してしまった。

肝心のアクションにしたって、この頃のキアヌはとんでもなくド下手ですね。立ち姿こそ様にはなっているものの、いざ動くとなると演出のワザ抜きには到底見れたものではない。わたしは格闘技にも疎いし、アクション映画も好んで見るわけではないのでそのへんの目利きの才はまったくないのだけど、そんな人間にもNGと思われてしまうくらいの悲惨な出来栄え。特にクンフー修行のシーンはローレンス・フィッシュバーンともどもひどく…。そんな体たらくでブルースリーの物真似までかましてくるなど、噴飯物の極みだろう。

見てるこっちが恥ずかしくなるような珍作。ともあれ、そうしたアクの強さこそ本作の魅力であり、当時には斬新すぎたメッセージを、広く一般に届けるため一役も二役も買っていたというのはよくわかる。劇中のセリフにもあるように、「この真実はある年齢を過ぎると受け入れ難い」のかもしれない。ショボ──(´-ω-`)──ン
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