シリーズ8作目にして最終作。
お竜さんは既に貫禄の大親分。壷も振らなきゃ札も引かない。そのかわり見事な剣戟アクションでばっさばっさと殺しまくる。そのキレの良さと殺気みなぎる表情は素晴らしい。
物語的には他作と比べて特別に秀でたところは無い。しかも主役としての存在感も薄め。冒頭ちょろっと顔を見せただけでしばらく出なくなっちゃうし、進行係は菅原文太が担っちゃったりしてる。おまけに最後は、片岡千恵蔵大親分に「思い通りにならんなあ」などと言われてしまう始末で、花道が用意されているとも言い難い。
グレース・ケリーの最終作「上流社会」にも感じたが、制作者の嫉妬を感じる。この時点では、映画人たちは引退を決意した(しかも梨園に嫁ぐ)美人女優&ドル箱スターを心から祝福はできなかったのだろうか。あるいは、「関東緋桜一家」に花道はとっておかなくてはならなかったのだろうか。