さく

隠し砦の三悪人のさくのレビュー・感想・評価

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)
4.0
言わずと知れた『スターウォーズ』にも影響を与えた名作。何故か今まで一度も見ていなかった。社会派黒澤作品も良いけど、やっぱり時代劇。

くわぁー! って三船が馬に乗って刀を構えて追いかけるシーンだけでもう大満足です。かっこ良過ぎるでしょ? 漫画か! その後の槍を用いた(珍しい?)殺陣も圧巻のかっこよさ。これを見てしまうと、スターウォーズのダースベイダーと…

姫役の上原美佐さんの目力が凄まじい。魅力的な女優さんなのに他作品で見た記憶がないなぁ、と調べてみたら「私には才能がない」と二年で引退(Wikipedia)。あなたに才能が無いのなら世の大半の女優は凡庸だ!

3POとR2のモデルとなった太平と弥七ですが、コミカルで笑わせてくれる一方で、黒澤明の庶民(百姓)に対する諦めとか冷めた目線というのが込められていると思います。これは『七人の侍』にも通ずるテーマですが。欲に動かされる人間、結局は自分のことが最優先で動くのに立場がまずくなると強者にすがる…そうした嫌だけど人間の本質みたいな部分を太平と弥七に背負わせているけれど、それをコミカルなキャラ設定で覆い隠すことで嫌味ったらしくなく織込んでいる。これをオープンにやると園子温の映画みたいになってしまう(悪いわけではない)。

火祭りのシーンもテンション上がって最高だし、城から離れた姫の「短い間の世俗との戯れ体験記」として『ローマの休日』的な要素もあるし、色々盛りだくさん。総合力では黒澤明の最高傑作か?
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