YohTabata田幡庸

隠し砦の三悪人のYohTabata田幡庸のレビュー・感想・評価

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)
4.5
初めて黒澤明作品を大スクリーンで観た。それがスウェーデンとは不思議な感覚だ。
今年観たベスト映画、これで決まりで良いのでは、と言う位に良かった。これはジョージ・ルーカスも手本にするわ。

序盤、長回しや、場面の切り替え等、カメラワーク云々を観ながら、勉強になります、等と思っていたが、気がついたら話に飲み込まれていた。主人公たちの状況を手際よく説明する最初のくだり、最早そこだけでも面白いから映画にすれば良いのにと思ったが、そんなケチはしない黒澤。
三船敏郎の圧倒的な存在感。まさしくスター。
火祭りのシーンをはじめとする、真壁六郎太の一歩先を読む作戦と、凸凹な又七と太平の馬鹿さ。
姫の「嫌じゃ、嫌じゃ」の音割れ、旗からのクロスフェードで彼女の泣く姿。上手い。
又七と太平が兎に角最高。一攫千金を狙うお馬鹿コンビの貧乏な農民の意地汚さ、成長しなさには正直腹が立つが、人間こんなモンだろうとも思う。絶対絶命のピンチで必ず彼等が放つ「〇〇があっても友達でいような」シリーズは、可笑しさが回を追う毎に破壊的に増して行く。一緒に観に行った友人は彼等を称して、最悪で最高の主人公たち、と言っていた。

序盤の崖のシーンの長い事長い事、まだやるの?と思い、そのクドさに笑った。
騎乗戦凄い。カッコイイ。
槍の戦いの緊張感がエグかった。素晴らしいの一言に尽きる。
ついて来ちゃった女の子良い。

クライマックスの分かり易くエンタメに振り切った気持ち良さと、オチの上手さよ。

帰宅前に友人と食事をしたが、本作を反芻し過ぎて会話が少なかった。口を開けば「〇〇があっても友達でいような」と本作の話。
YohTabata田幡庸

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