ひろ

隠し砦の三悪人のひろのレビュー・感想・評価

隠し砦の三悪人(1958年製作の映画)
4.7
監督・黒澤明、主演・三船敏郎によって製作された1958年の日本映画

黒澤映画は面白すぎる。日本映画でここまでスケール大きい作品はなかなかない。二転三転する逃亡劇としても面白いし、槍の一騎討ちや民衆による祭りのシーンは迫力あって最高。黒澤監督の演出は神業です。

六郎太役の三船敏郎。黒澤明を偉大にしたのは、間違いなく三船敏郎との出会いだ。マーティン・スコセッシとロバート・デ・ニーロ、ティム・バートンとジョニー・デップのように、映画界には運命的な出会いが必ずある。野性的な三船敏郎も好きだけど、渋くきめる三船敏郎もかっこよかった。

この映画を盛り上げるお馬鹿コンビ、太平と又七を演じた千秋実と藤原釜足。全く信用できない上に、情けない百姓コンビ。情けなすぎて笑えてくる。このコンビの役作りは素晴らしかったね。この2人が「スターウォーズ」のC-3POとR2-D2のモデルになっているのはあまりにも有名な話。

昭和の大スター藤田進が演じた田所兵衛。田所兵衛との一騎討ちは名シーンだし、後半で早川領へ向かう時に田所兵衛が放つ台詞は、日本映画史に残る名台詞だったね。あれはしびれた。

雪姫を演じた上原美佐。凜とした男勝りのキャラクターなのに、不思議と色気を感じさせるという天性の才能。デビュー作とは思えない堂々とした演技だったが、女優をすぐに引退してしまった。もったいない。雪姫は、「スターウォーズ」のレイア姫のモデルになっている。

ジョージ・ルーカスがこの作品から着想を得て「スターウォーズ」を作ったのは、紛れもない事実。随所にそっくりなシーンなどが登場するから見比べると楽しいかも。よく、黒澤映画はハリウッド的と評されるが、黒澤映画がハリウッド的なのではなく、ハリウッド映画が黒澤映画的なんだと思う。日本映画を誇れる一作。
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