みんと

囚われの女のみんとのレビュー・感想・評価

囚われの女(2000年製作の映画)
4.0
コレはアケルマンらしくてアケルマンらしくないような…
後からじわじわ来るのは虚無感じゃなく、面白みだった。

マルセル・プルーストの長編小説「失われた時を求めて」の第5編「囚われの女」を、アケルマン的自由な発想と洗練された表現で映画化。

シモンは祖母とメイド、恋人アリアーヌと一緒にパリの豪邸で暮らしている。彼はアリアーヌが美しい女性アンドレと愛し合っていると思い込み、嫉妬と妄想にとり憑かれていく……。

一見理解出来そうもなくて、実は腑に落ちる恋愛観とか性的嗜好はアケルマンの撮影手法に合ってる気がする。そして、やはりアケルマン自身を投影させてるかと勘ぐってしまうシーンも。

愛する気持ちは盲目的で、自分よがりで内向的になったり、ある時ふと俯瞰で捉えたり、もっと言えば相手を思いやり自身の気持ちに蓋をしたり…

好きの次は嫌い!とスパッと割り切れない複雑な感情な訳で。


ラストシーンに繋げるあれは伏線?にトリハダ!…同時にたらればの感情がムクムクと湧き上がる。そして、単純に面倒臭い男だなぁ…で終わらないところが興味深い。

そもそも観終えてタイトル『囚われの女』が見事に“囚われた男“に変換される面白み。
みんと

みんと