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メリダとおそろしの森のrensaurusのレビュー・感想・評価

メリダとおそろしの森(2012年製作の映画)
3.6
ピクサーが父親目線から見た子供や家族をテーマにした作品という路線から一気に舵を切った作品。ピクサー初の女性監督(実質)、ピクサー初の女性主人公であり、ピクサーとしては挑戦的な映画となった。

加えて、ディズニーのプリンセス像を真っ向から否定するという側面も兼ね備えており、結婚したくない、そもそも恋愛をしない、男性に頼らない、ドレスを脱ぎたがる、母親の存在と母との葛藤などがそれに当たる。

今作は、自分らしさを求めるメリダと伝統を押し付ける母が、熊になる魔法という障壁を乗り越えることで、相互の理解を深め絆を取り戻すといったもので、女性への固定観念からの解放といった意図が感じられる。

また、今作の魔女はコミカルかつ魔法の目的が人間の成長という点も従来の魔女像を変えるものと言える。厳密には美女と野獣の魔女がその発端ではあるが、あの魔女は自ら屋敷を訪ねて疎まれに行ったタイプなので少しやり方がこすい。

メッセージは大きいが、3人の弟、愉快で家族思いなマッチョ父、隣国のバカ王3人とポンコツ息子3人、ビビりな家政婦などと、メリダと母親以外の人物を全ておバカで囲い、コミカルな仕上がりにしている。

強いて言うなら女性解放に重きを置きすぎて男性が軽視され、男が活躍する場面はほぼ無いことが残念ポイント。伝説の元王子熊を倒すのは、父親や隣国の王子と共闘でも良かったではないかと思った。

北欧の世界観とバグパイプを用いたサントラが素敵だった。
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