名作と言われる理由が分かりました。
ただの脱獄物語ではない。
そっと心に伸し掛るような重さのある作品で、きっと私たちが、「生きているということ」はこんな感じなのだろう。
牢獄の中で、無実にも関わらず、もしくは罪よりもはるかに過度な罰を与えられ続け、半殺しにされる毎日。目を覆わないと見ていられないような場面が多く、人間として扱われない想像を遥かに超える生活をしている。人格を失ってもおかしくない。
けれど彼は唯一心の自由を忘れなかった。
どんな環境に居ても本来の心までを殺すことはしなかったのだ。
牢獄での生活、釈放されてからの、心の在り方によって様々なパターンのある彼らの姿、考えさせられる不意の言葉たちに人生、を聴いて見ていると、生きているということを思い出す。
「全力で生きるか全力で死ぬか。」
そして私自身、彼らの波乱万丈とは言い表せない、一つの作品として鑑賞した時、既に「自由」な環境にいるにも関わらず、どこかで自分を縛り付け、小さなやっかみに苦しめられ小さく悩み続けているような生き方がとても恥ずかしくなった。環境が自由でも心が自由でなかった。
そんな人間本来の在り方を心が、
思い出すような感覚になる作品です。