CANACO

ショーシャンクの空にのCANACOのネタバレレビュー・内容・結末

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

1994年公開。原作はスティーヴン・キングの小説『刑務所のリタ・ヘイワース』。

1947年に妻とその愛人殺しの罪に問われ、有罪判決を下されたアンディ。アンディは有能な銀行員で、しかも無実だった。しかし無情にも終身刑でショーシャンク刑務所に送られる。
非常に聡明で仕事ができ、かつ誇りと希望を失わないアンディは色々な意味で異端な存在となる。やがて囚人たちだけでなく、看守からも一目置かれるように。
同じく終身刑の“調達屋”レッドとは、入所後間もなく親しくなり、アンディは鉱物採集のためのロックハンマーや女優のリタ・ヘイワースのポスターなどの調達を依頼する。趣味に打ち込み、刑務所に貢献することに希望を見出しているように見えたアンディだったが……。そこから19年にもわたる刑務所生活とその先を描いた、罪と希望の物語。

雨に打たれるティム・ロビンスのジャケット写真だけしか知らない状態で鑑賞。公開直後は世間から注目されず、アカデミー賞に7部門ノミネートされながら無冠(日本の賞は獲っている)であることも知らなかった。「名作」と言われ続けている作品だから気付かなかったが確かに地味で、19年間の刑務所生活を見守る話だ。しかし、この地味さがよかった。

アンディという、頭脳明晰かつ世界レベルで1、2を争う“不運”に見舞われた男が、ショーシャンク刑務所でどう生き抜くのかを見届ける。最後まで見届けたあとは、アンディの聡明さにあらためて感嘆する。

「一念岩をも通す」を地でいくアンディはスーパーマン感が凄すぎて、共感から引き起こる感動はなかった。だが、降りかかる不運や災難のレベルも桁違いに高く、神に選ばれし者だけに与えられた、特別な試練を乗り越えるストーリーとして受け止めた。ゆえにラストシーンは天上の世界に見え、カタルシスがある。自分はここに行ける気はしないが、幸せでいてほしいと思い、目が潤んだ。

別の側面から見ると、希代の完全犯罪を成し遂げた物語であり、無実の罪で入所したのに19年を経てある意味“立派”になって卒業したアンディは、怖い人だ。『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』のフランクと張れる(あっちは実話だけど)。
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