大名作と度々紹介され、ハードルが上がりに上がっていたからか、「資本主義と法治国家のもとでいかにしたたかに生きるか」みたいな内容で少し面食らってしまった。それでも、演出、演技、脚本、撮影の総合点がすこぶる高く、「人間の本質は希望である」というシンプルで力強いテーマに心を揺さぶられる映画だった。
特に印象的だったのは、長期の服役から仮釈放されたブルックスやレッドが、シャバで不安に駆られるところ。圧倒的な管理と集団における役割がある日々が、突然に無くなるという出来事は、恐怖でしかないのかと思いもよらないところで引き込まれた。罪悪感と自己嫌悪にも苛まれるだろう。レッドがその後、希望を抱いて生きていくようになる振りとしても抜群だった。
この映画、主人公のアンディが圧倒的に正しく、教養・忍耐・奉仕という素晴らしい人格を、最悪の環境でなおも保ち続けるという聖人っぷりであることが、非常に力強い印象を与えることに寄与していると思う。とはいえ、裁きを与えるべき者には与え、自分の逃げ道を周到に確保するという狡猾さもあり、自分自身の人生に対する責任感の強さのようなものに、所内の同胞と同様に、感銘と影響を受けるような人物像だった。
ラストは衒いの無い、さっぱりしたものだったが、それはそれで物足りないとも感じてしまった。
それにしてもモーガン・フリーマンが素晴らしい。彼がどれだけ重厚感をもたらしているか、計り知れない。