t

ショーシャンクの空にのtのレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
4.6
岩手のガラガラの映画館でたまたまやってて観た。
映画好きなのに前情報なしで観られてよかった。モーガンフリーマンがモーガンフリーマンしてる。囚人いじめが見てられないほど痛々しい。アメリカの刑務所はひどいって聞くけどこの仕打ちなら罪を犯した瞬間から後悔するのも頷ける。
現代はショーシャンクの償い、らしくてそっちの方がスッと入る。空のシーンなんてあんまり印象にない。
教養や娯楽がなければ人の心が荒んでいくのは、実際に安い賃金で働く人たちと重なる。決して罪人ではないが、そこから抜け出そうとする気力、希望を失って着心地が悪いはずのその場所に停滞してしまう。
そのことを知っているのといないのでは大きな違いがあるのかも知れない。
新しいことを学ぼうという意欲や娯楽を楽しめない現状にあるなら心が荒んでいるサインと読み取ってもいいのかも。
ショーシャンク刑務所にはいってすぐ聖書や十字架などのモチーフが出てくるし、贖罪が原題なこともあって後半は贖罪とは、救いとは、みたいな感じに持っていかれる。けど、個人的には主人公の「誠実さ」「努力」、「人に与えることや自由を楽しむことへの才能」のようなものに驚かされるというか、もはやそれを信仰させられるような感覚に陥る。
逆に所長は狡猾で(愚鈍で)自分の手は汚さず人から奪い、罪を償わず自死を選ぶのだからわかりやすい。

自分のじいちゃんが病気になって弱ってるのを見たばっかりなので、ブルックが仮釈放されて車に轢かれかけたり、店長にきつく当たられたり、首を吊るほど心が弱ってしまったりするのが見てられなかった。
ひとりは寂しい。わからないことが多いと恥が多いし、恥はとんでもなく辛い。自分が老いれば尚更そうだ。
人に従い続け、自由を忘れるほど年月が経つとと人は何かの奴隷になって戻れなくなってしまうのかもしれない。
何十年もロックハンマーで壁を砕き、人望を集め、手紙を送り続けた主人公の心はショーシャンク刑務所の中でも囚われなかったのだろう。映画のジャケットはそういう描写の気がする。囚人じゃなくても何かに従い続けて自分がなくなる時ってあるよね。3時間睡眠でも最後まで観れたのは名作と言われる所以だね。おやすみ。
t

t