メモ魔

ショーシャンクの空にのメモ魔のレビュー・感想・評価

ショーシャンクの空に(1994年製作の映画)
4.0
希望を持つことに手遅れがあるのか。
自由を志す心に躍動を与えるのは何か。
人が社会に復帰する上で必要な[生きる希望]を教えてくれる。
そんな作品だった。

詰まるところ人間なんてのはそう、
【頑張って生きるか。頑張って死ぬか】なのだ。
二つに一つ。その先に何を見るかで、頑張る先は決めれば良い。
あなたが今、頑張って生きているのは日々生きる選択をしているからだ。頑張ってるからだ。その為の希望を見つける糸口をこの映画は教えてくれる。

自分はこの映画からそんなメッセージを感じた。
優しく残酷な映画だ。
人は自由を渇望しつつ、しかしいざ自由になると行く先を見失ってしまう。
人生をずっと何かしらの鎖に繋がれることで、それを辿ることでしか人生の希望を見出せなくなってしまう。
定年した後も会社に戻ってきてしまうのは?
忌み嫌った学校や地元、職場を離れるとなった時心に鈍い痛みが走るのは?
自分のこれからを指差す鎖が無くなるのを恐れるからだ。
毎朝眠気を堪えつつ会社へ向かう自分を40年近く演じてしまった。それ故にいつしか、嫌なこと、鎖に繋がれた自分を自由だと勘違いしてしまった。
安定を求めてしまった。
自由を求める心は平穏とはかけ離れた物だから。毎日自由を求める心が現実でずたずたに切り裂かれることに心が疲れてしまった。
それでも希望が魅せる景色に憧れてしまう。主人公のアンディは20年もの間、希望を持つ心に火を灯し続けた。
自由は広大すぎて恐ろしく思うものだし、それを求める心は日常という鎖に日々打ち砕かれる。
それでもその先の自由を渇望してしまうのは、心が、人生が、じっと座ってられないほどに自由の躍動に夢を見るからだ。

いつしか自分の心も。
そう、おじいちゃんになってからだって遅くない。
じっと座っていることが出来ないほどに躍動させたい。それが自由の先にしか無いのなら、自由を求める希望を忘れたくない。

[総評]
この映画の雰囲気が好きだった。
内容より先に雰囲気で魅了された。吸い込まれた。長年愛され続ける映画って多分こういうことなんだなって思った。
広く人の心を打つ映画は、日常に隠れたほんの些細な輝きを優しくすくってあげられる映画だ。
この映画はその中でも、誰の人生にも共通してあった自由への渇望を魅せてくれる。
自由の恐ろしさも教えてくれる。
主人公が投獄されたことで人生に縛りを与えられたことが際立って映るが、誰でもみんな社会という牢獄の中だ。自分も含めて。
いつしかそんな牢獄に慣れて、新しい自由への渇望を本気で諦めてしまう。牢獄の中で地位や名声とかいう自分の為にならないものを必死で追いかけてしまう。
一歩外に出る勇気を諦めてしまう。
この映画は、新しい海(社会)へ飛び立つ自由への希望を教えてくれる。
10年後、いや、定年するタイミングでまた見たい。余生が輝けるものになるために必要なのは地位とか名声とか、お金とか、そういう薄っぺらいものじゃなくて[自分の心が目指すところを真摯に聞いてあげること]なんだって事をその時再度知ることになるだろう。
それは恐ろしいことだけど、今更こんな歳になって新しく自由を求めるなんて、、って思うかもしれないけど。
歳とか性別とか、そんなものは他人が言ってるだけで、心はいつだって生まれたての躍動を心待ちにしてるんだって気づかせてくれる。
メモ魔

メモ魔