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007/消されたライセンスのmimagordonのレビュー・感想・評価

007/消されたライセンス(1989年製作の映画)
5.0
一度は涙を飲んだ。でも二度は許さない。ボンド映画としては異色作だが、これまでの作品全体に触れつつジェームズ・ボンドの人間像がより深く掘り下げられ、なんとも暴れん坊なのにMやQやフェリックス等仲間がいるのも納得の血の通ったボンド像が見られる。ティモシー・ダルトンの鬼気迫る熱演は流石。2作で終わってしまったのが残念...とはいえ、ここで一旦軌道修正をしたことでダニエル・クレイグのボンド像に繋がったとも言えるだろう。アクションはもう初っぱなから途切れなく、生身の銃撃戦や肉弾戦でここまでのシリーズで最も迫力がある。特にクライマックス、タンクローリーでのチェイスは規模も破壊力も段違い。ボンド・ガールもロマンスのお相手よりもボンドと共闘する立場でプロットにも大きく関わり、単なるボンドの復讐劇に終わらない凝った展開になっている。Qもフィールドで大活躍。これをテンポよくしっかりまとめきったジョン・グレン監督には天晴れ。悪役サンチェスを演じるロバート・ダヴィの他、若きベニチオ・デル・トロの狂気的な役柄も強烈なインパクトを残す。ティモシー・ダルトンにとっても、80年代の007シリーズを支えたジョン・グレン監督にとっても有終の美。シリーズ随一の傑作。
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