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フィッシャー・キングのsunyaのレビュー・感想・評価

フィッシャー・キング(1991年製作の映画)
3.7
世捨て人が救いとなる聖杯を手に入れ、愛に目覚める物語を描いたギリアム作品。

以下ネタバレ含みます。

ギリアムの映画は反体制を表現したものが多く、本作もそれにあたると思います。ロビン・ウィリアムズ演じるパリーはホームレスで、物質的豊かさに反対し、精神的豊かさの象徴として聖杯を得ようと試みます。

ギリアム作品はいずれも現代社会に対する批判(「未来世紀ブラジル」では管理主義社会「12モンキーズ」では科学主義社会)がメインテーマになりますが、それがゴリゴリの政治映画にならないのは、エンターテイメントとしてのサービス精神が豊富だからだと感じます。

チープな聖杯、奇妙な赤い騎士、妖精との妄想会話、ピノキオ人形とのニーチェ談義、なかなか口に入らない水餃子、全裸で行う雲のちぎり遊びなど観る者を飽きさせない。逆にそっちの方に気を取られてメインテーマを忘れそうになるくらいです。

今後もテリー・ギリアムから目が離せそうにありません。
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