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リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦いのnoteのネタバレレビュー・内容・結末

3.2

このレビューはネタバレを含みます

1899年のロンドン。世界征服を企む鉄仮面のリーダー・ファントム率いる軍団に、英国銀行が襲撃された。一味は金品には手をつけず、古い海上都市の設計図面だけを盗む。危機感を感じた英国政府は世界大戦の勃発を防ぐため、冒険家アラン・クォーターメインを始めとする対抗する超人チームを招集する。

「ソロモン王の洞窟」のアラン・クォーターメイン、「海底二万海里」のノーチラス号のネモ船長、「トム・ソーヤの冒険」のトム・ソーヤなど名作文学のヒーロー、また「ジキルとハイド」、「透明人間」、「ドリアン・グレイの肖像」、「ドラキュラ」のヒロイン、ミナ・ハーカーなど怪奇小説からのキャラクターが一堂に会する。
彼らの生きる年代は合っているのか?は疑問で、かなり荒唐無稽ではあるのだが、有名キャラクターが一同に会するのはワクワクする。
ファンタジー・アクション・アドベンチャーの佳作である。

冒頭から1899年というのに戦車を使った銀行強盗のアクションと、続くアバンタイトル形式は007へのオマージュか。
主演はその元祖ジェームズ・ボンド、ショーン・コネリー。
かつて名を馳せた冒険家だったが、愛する人々を亡くし、アフリカで隠居生活を送っていた老いたアランがいきなり敵に襲われる。
当時は無いマシンガンを装備した厄介な敵を、何と肉弾戦で倒すアラン。
もう最初からありえないことを楽しむ作品だと分かる。
だが、アランの真の能力は肉弾戦ではない。
彼はライフル射撃を得意とし、遠くへ逃げた敵も撃ち落とせる凄腕のハンター。
老眼のため、射撃時は眼鏡が必須という、ご老体の自虐ネタが笑える。

ヒーローが7人揃うというのは黒沢明監督「七人の侍」のオマージュだろう。
敵役はオペラ座の怪人を思わせる仮面の男ファントム。
戦争を回避するための極秘会議がベニスで行われるが、世界大戦を目論む武器商人ファントムは邪魔をしようとしていた。
その計画を阻止するために、ベニスに乗り込んだ超人チーム。
それぞれの能力が発揮されるアクションも楽しい。
個人的にはネモ船長のノーチラス号と愛車のアール・ヌーヴォーとアール・デコを合わせたようなデザインが秀逸でお気に入りだ。

ドラマ部分もそれぞれ見せ場がある。
家族を失ったアランが、息子ほどの年のトムに、射撃を教えることにする擬似親子のような師弟関係。
ミナとドリアンの不死者同士の恋愛と、ドリアンの裏切りによる愛憎関係。
沈没仕掛けるノーチラス号を死守するネモ船長の誇り高さ。
ジキルが薬で崩壊する理性を何とか保ち、化け物ではなく、人間らしく生きようとする姿も描かれる。

悪役の設定もなかなか凝っている。
ショーン・コネリーが出ているからかもしれないが、英国情報部のボスがMというコードネーム。
ファントムの正体はMで、彼が超人たちを集めた真の目的は、実は世界大戦を起こすために超人たちの能力を盗むことにあった。
Mはドリアンの肖像画を人質にして彼を利用し、各人の血や薬を盗み、不死身で強力な軍団を作ろうとしていたのだ。
しかも、実はMはシャーロック・ホームズの敵役モリアティ教授だという凝りようだ。
クライマックスはMのアジトに超人チームが乗り込んでの大暴れだ。

誰でも知っているヒーローたちを一堂に集める発想はMARVELの「アベンジャーズ」と同じだが、本作も漫画が原作だとか。
ただ本作の難点は登場人物の知名度が現代では微妙だということだろう。
各キャラクターは、知名度が高い人物ばかりだからと、キャラ立てのための説明的シーンなどの挿入はほとんどないのが残念。
キャラクターに深みがないのだ。

私のようなオッさんはそれぞれのキャラクターが登場する原作や映画化作品を知っているのだが、イマドキの若者はアラン・クォーターメインだとかドリアン・グレイだとか知らないだろう。
しかし、見る者は彼らを当然知ってるものとして、どんどん先に進む。
ゆえに本作は年配向けのファンタジーだと言えるだろう。
アクションにしてもお互いがいなければ成り立たないような共闘が見られないし、それほどの強敵が控えていた訳でもないのが残念だ。

最後はMとの戦いで死んだアランが、アフリカの祈祷師の魔術で蘇り、続編があるのか?と思わせて映画は終わる。

興行成績がイマイチだったらしく、続編は作られていない。
キャラクターを深く描くには連続ドラマの長さが必要だからだろう。
ただ何も考えずに楽しむアドベンチャーとしては充分楽しい作品である。
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