原作は完全無視。
四人の監督が別々の短編を撮るとの事なので、原作を忠実に再現する事よりも、乱歩の世界観を各々どう理解し、表現するかという点が主題なのだろう。
とは言え、例えば火星の運河なんてあれ原作読んだんだろうか?
本作の火星の運河に、原作が意味する所の火星の運河は出て来ない。
我輩は猫であるを映画化して、猫が登場しない事があり得るだろうか?
カフカの変身を実写化して、主人公が変身しない事があり得るだろうか?
ラストで猫が死ぬオチをハッピーエンドに変えるだとか、毒虫はグロ過ぎるのでなんか別の生き物に変えるとか、そんなレベルではない(それも暴挙だが)。
火星の運河に火星の運河が出なかったらそれはもう何なのかと。
タイトルなしかと。
鏡地獄、芋虫には、何故か明智や二十面相が登場するが、芋虫も鏡も出て来ます。
蟲なんかは、個人的には一番のお気に入りでした。
なんか、変に期待し過ぎた。
江戸川乱歩の短編の映画化で、ラインナップが火星の運河、鏡地獄、芋虫、蟲と聞いた時は心踊った訳です。
特に、火星の運河と鏡地獄。
小説に出て来たあんなシーンやこんなシーン、一体どう映像化するのかと心待ちにしていた訳ですよ。
全部映像化しろとも、忠実に再現しろとも言わないが、全くの無視はないだろう。
私のワクワク返せ!
過度に期待し過ぎるのも考えものですね。