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地球防衛軍のsymaxのレビュー・感想・評価

地球防衛軍(1957年製作の映画)
3.5
"ワレワレノ要求ハ…半径3キロメートルノ土地ト、地球人トノ結婚ダ…"

それは突然始まった…穏やかな山村の夏祭り…根本から燃え上がる樹木…洗濯機でかき回されたような山崩れで消滅する部落…そして割れた山から現れたのは…巨大なロボット"モゲラ"…

現代兵器が全く通用せず、右往左往するだけで全滅する防衛軍…

事態解明の為、現地を訪れた安達博士を中心とした調査団の前に現れたのは…核戦争により故郷である遊星ミステロイドを失った流浪の遊星人"ミステリアン"…

防衛軍は、事態を日本だけの問題ではなく、全地球人の問題として、国連各国の防衛軍の協力の下、史上最大の防衛作戦に打って出る…

"午前十時の映画祭"…4Kレストアにより鮮やかに甦った映像と音…以降の宇宙人侵略モノSFの祖とも言える力作をでっかいスクリーンで鑑賞出来る幸せ…

本多猪四郎+円谷英二、伊福部昭の重厚な音楽に小松崎茂デザインの超かっちょいいメカの数々…

流石に60年以上前の作品ですから、所々に古さを感じさせますが、最強の布陣で作られた映像の凄みは今の技術でも敵わない迫力ある映像が続きます。

山崩れシーンの特撮の素晴らしいこと…

くるくる頭のアンテナが回り、強そうでいて何か情けないモゲラが素敵です…

自衛隊発足を踏まえ、あくまで専守防衛にこだわる防衛軍の姿勢は、当時の歴史的背景が色濃く、自衛隊全面協力の中での戦闘シーンの迫力は、本作の肝であります。

デッカいゴレンジャーのようなミステリアンの見た目には捨てがたい魅力があり、平田昭彦のクソ真面目な表情と格好のギャップは堪りません…

安達博士演じる志村喬が"彼らは、永遠に宇宙の放浪者です…我々は決して彼らの轍を踏んではならない…"と重厚な演技で締めたラストがまた渋くて堪らんのですわ…
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