よしまる

悪魔の手毬唄のよしまるのレビュー・感想・評価

悪魔の手毬唄(1977年製作の映画)
3.2
 先月より始まりました@larabee さんとの企画「マンスリー金田一」。

 「マンスリーかねだぁー!」ではありません。そんな読み方をすると「さんをつけろよデコ助野郎‼️」と返されますw

 ではなくて「マンスリーきんだいち」。私立探偵金田一耕助の活躍を描いた映画、特に「監督市川崑+主演石坂浩二」のシリーズを毎月1本観ていくことに。

 今回は2作目「悪魔の手毬唄」。

 昭和初期、次々と殺されていく若い女性には共通点があり、その秘密がこの鬼首村(おにこうべむら)に古くから伝わる手毬唄に隠されていた…というミステリー。

 ところがこの手毬唄、実在するものではなく横溝正史が創作したものらしい。
 歌詞の内容も「狩好き、酒好き、女好き」とか「日がな1日酒浸り」とか、子供たちが手毬を突きながら唄ったわらべうたとは到底思えないハードなもので、そこのところが恐怖を味わう以前に違和感💦

 そして金田一さん、謎解きをしてくれるのはいいのだけれど、なぜかタイミングが悪く、殺人がどんどん進んでしまい後悔するのは「犬神家の一族」と同じ展開。

 レギュラーの加藤武演じる刑事が毎度ながら丁寧にミスリードしてくれる(苦笑)から面白いようなもので、ストーリーそのもののなるほど!そう来たか!的なものはほとんど感じられなかった。

 またlarabeeさんも指摘している若山富三郎のラブロマンスも、別に悪くはないのだけれど、物語への絡みが無さすぎた。
 せっかくフランスから岸恵子を呼び寄せたのにもったいないこと甚だしい。
 同様にフォーリーブス北公次のロマンスもしかり。

 それにしても昭和の男はどいつもこいつもいっぱい女作っていちいち子供残して、現代なら大炎上ものという人生が当たり前のように描かれる。草笛光子ら3人の奥さんが並ぶクライマックスの謎解きシーンの痛快なこと!皆が狼狽するその横で普通に茶をすする大滝秀治の安定感ww

 今回もモノクロの血飛沫や細かなカットバックなど市川ショットは満載で、それを支える豪華な俳優陣の演技はたっぷり楽しめる。岡本信人や三木のり平、白石加代子、山岡久乃、いやいやみな素晴らしい。

 シリーズの中では物語的にちょっと評価は低くなるけれど、5作見返すうちにちょいちょいスコアをイジる可能性もあるなこりゃw