しゅん

さらば夏の光のしゅんのレビュー・感想・評価

さらば夏の光(1968年製作の映画)
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寝不足で観たせいかもしれないが、集中が途切れた(寝てはいないが)。ポルトガルの広場に描かれた世界地図の上で日本に立つ男が、ヨーロッパに立つ女に出会う。その後二人は何度も何度もすれ違う。前半の、ポルトガルの坂道と海の光景は素晴らしいのだが、生活感の一切ない男女がヨーロッパ横断しながら(ポルトガル→スペイン→フランス→スウェーデン→デンマーク→オランダ→フランス→イタリア)隠喩めいた会話と追っかけっこを続けていくのに乗り込めず。JAL協賛を背景とする観光地巡りの通俗性と、抽象的な駆け引きに終止する高尚性の交錯にチグハグ感を覚えてしまう。ヒロシマモナムールを意識させる戦争の記憶(本作の場合はナガサキモナムール)にまつわる話題も、そこまでしっくりきていない。抽象的な男女による抽象的な会話、という構図は時代的なものなんだろうな。というかこの映画は68年公開なのだが、68年革命とは無縁な感じがする。とはいえ無関係ではないだろうし、その辺りの背景が気になる。

ガラスを挟んでの聞こえているかわからない会話が繰り返されている。生活感ないと言ったが、女の方が家具商をこなしていて男の方がいつ終わるとしれない休暇にいる対照は意識すべきかもしれない。
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