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さらば夏の光のodyssのレビュー・感想・評価

さらば夏の光(1968年製作の映画)
2.0
【猿真似はダメよ】

しばしば指摘されていることに、私も基本的に同意します。

この映画は『去年マリエンバードで』などの影響を濃厚に受けており、登場する日本人同士の会話がまったくリアリティを欠いています。当時としてはモダンで格好良かったのかもしれませんが、今から見ると西洋の猿真似をしたってまともな作品にはならないということの見本みたいな映画でしょう。

ですから、見どころは当時としては珍しかったヨーロッパ各地の景色だけでしょう。私には、特に最初に出てくるポルトガルやスペインの街や風景が印象的でした。フランスはこれに比べると、今の時代だから言えることですがややありきたりですし、北欧の白夜も、南欧のクラシックな風景に比べるとさほど強い感銘はありませんでした。

当時のことで、街なかで撮影するときは、周囲のヨーロッパ人の了解などとらずにぶっつけ本番だったのでしょうね。日本人登場人物同士が真面目に会話を交わしているシーンで、隣のヨーロッパ人が、おそらく回っているカメラが気になるのでしょう、こちらのほうを振り返っているところが多いのは、今からすると笑えます。
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