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さらば夏の光のmingoのレビュー・感想・評価

さらば夏の光(1968年製作の映画)
3.5
松竹ヌーベルバーグが1人、吉田喜重監督作品。大島渚は物語も構成もキチガイでオモロー、篠田正浩は映画が丁寧でスタイリッシュ、吉田喜重は不協和音のような音楽にあやふやなストーリーライン、不気味な建築物や植物のショット、1番おフランスしててヌーベルバーグを色濃く受け継いでいる気がした。

物語は1968年夏のヨーロッパで出会った男女のメロドラマ。夏の光のもと、すれ違う二人、繰り返されるモノローグが内省的雰囲気を漂わせ、繰り返される音楽が情感を高める。

ヨーロッパ中をうろうろする岡田茉莉子が着ている森英恵デザイン(森泉のおばあちゃんで服飾デザイナーの権威)の衣装は女性的でエレガント、建築物と人の対比による妙に奥行きにこだわった構図、すれ違いと振り返りなど、監督の画面へのこだわりを強く感じた。

そして夕日や朝日の陽の光や、水しぶきなど、とにかく光に敏感。テーマはまさにそこにある。恋が終わって、ほろびないものは何かと自問する主人公への答えは映画に保存された光だと物語っている。
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