広島カップ

チャップリンのニューヨークの王様の広島カップのレビュー・感想・評価

3.5
一流のコメディアンが歳をとってその芸が笑えなくなって来るというのは日本のお笑い番組を見ていてもたまに目にします。
ヤキが回って来るというやつです。
観客に飽きられてしまう、芸自体が硬直して質が低下する、理由としてはそんな所でしょう。
ビートたけしなんかその典型的な例ですし、第何世代なんだかわかりませんけれど爆笑問題や中川家なんかもなんだかその域に来ているようにこの間の年末年始のお笑い番組を見ていて感じました。

エネルギーに満ち溢れていた若い頃は大いに劇場や寄席やテレビ座敷や映画館を沸かせたコメディアン。そんな彼等が歳を重ね生理的にエネルギーが枯渇して来たら彼等の行く道は決まっています。
痛々しくも強引にそのまま行くか、変化をつけるか、お笑いを放棄してただのタレントとして別の道を探がすか...どれも無理なら引退という道もあります。

コメディアンとして演っている事が笑えるか?笑えないか?という事以前に、人を愛する事と生きることについて強いメッセージ性を伴っていたチャップリン。
そうした面も影を潜め本作では大きな岐路に立たされていました。

彼は最後までコメディアンであろうとしたと思います。他の道を選ばずに貫いた人生であったと思います。
広島カップ

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