チキン女郎

SWEET SIXTEENのチキン女郎のレビュー・感想・評価

SWEET SIXTEEN(2002年製作の映画)
3.6
スコットランド(人口500万人)では、毎年4万人以上の子供が退学になり、1万1千人以上の子供が保護を受け、うち75%が卒業証書を得ずに中途退学、大学へ進学するのは1%に満たず、10代の妊娠率がヨーロッパで一番高いらしい。(これらのデータはちょっと古いかもしれないけど)

現在スコットランドでは貧困者が増加し、5人に1人の子供が貧困状態にある。主人公リアムもその内の1人で、学校にも行かず悪友のピンボールとタバコを売りながらフラフラしている。
もうすぐ出所してくる母親とシングルマザーの姉と一緒に暮らす家を買うためドラッグの売人の仕事を始める。

タイトルが「SWEET SIXTEEN」だけど全然スウィートな話じゃない。皮肉か!?むしろめちゃくちゃ苦い。春菊ぐらい苦い。
リアムが知恵も働くし意外とまともで度胸もある。それが評価されギャング達に気に入れられて、もらえるご褒美がグレードアップしてくのを見てると成り上がりマフィア幹部の生い立ち見てるみたいだなと思った。リアムを取り巻く環境はスコットランドの現状からするとすごくリアルなんだろうな。

あと改めて無償の愛は親から子よりも子から親の方が強いんじゃないかと思った。子供を捨てたり、虐待したり、子供そっちのけで男(女)に走る親もいる。
虐待を受けてもなお親を慕うのは珍しいことではないし、親を憎んでるけどやっぱり愛してほしいと言ってるのをよく聞く。酷いことをされても子供は親の愛を欲しがる。

姉ちゃんも「母さんに何回もチャンスを与えたのに変わらない」言ってたから過去何回もああいう事があったんだろう。それを見てきたリアムも母親がどういう人間かよく理解しているはずなのに、母親と一緒にいたい、愛されたいと願わずにはいられない。

日本もOECD諸国の中で貧困率が5番目に高い。シングルマザーの貧困率は先進国の中で突出して高く、子どもの6人に1人が貧困状態と言われてる。遠い国の話と思っていた環境に日本は着実に近づいてきてる。