TOMJFK

ノウイングのTOMJFKのレビュー・感想・評価

ノウイング(2009年製作の映画)
3.9
TVの衝撃映像のようなリアリティ

この映画のラストは人類滅亡である。
太陽の巨大フレアが地球を襲うため、人類の出来る対策は何も無い。
ただ絶滅する運命であり、人類は家族と寄り添いあい、その時を迎えるしかない。
人類滅亡後を描く映画は、「A.I.」以来だ。
ラストを観終って、まず思ったことは「生きているということは、今だけなんだ」 ということです。
余韻が残り、しばらく深い感慨にふけった。
全編を通じると、ニコラス・ケイジが主役に抜擢された意味も理解できます。
適役だと思う。
途中、宇宙人の登場が、どうしても違和感がありますね・・・どうすればよかったのでしょうか?
例えば、UFOの形状を、あのようなディテールに手の込んだものにするのではなく、you tube 動画で、見られるような、全く不可思議な、「地中上の物ではない」と感じるようなものの方が良かった。 また、宇宙人の姿も、人間の姿が粉々に飛び散ったら「光の人間」が現れるのではなく、形のわからない「光」そのものの方が、良かったと思う。
宇宙人やUFOの場面だけ、非現実的なシーンだが、他のシーン、例えば、飛行機墜落シーンや地下鉄事故シーン、またはラストの都市壊滅シーンはCGも非常にリアリティがあった。
凄かった!
特に、飛行機墜落シーンや地下鉄事故シーンは、テレビの「衝撃映像」みたいで、観ていて、恐ろしくなった。
現実の撮影ではないか、と思える程だ。
それだけに、宇宙人・UFOのシーンが、陳腐に思えてしまう。
そして、ラストの「他の惑星」シーン。
これもいらないと思います。
リアリティを重視するなら、地球から、数々のUFOが飛び立ってゆくシーンまでで十分です。
飛行機・地下鉄のシーンで、あれだけリアリティを出せる監督なのに、なぜ、ラストは、そのように安易に「他の惑星」などを描いたのか?
このことで、それまでのリアリティある展開が、ぶち壊しになったと思います。

宇宙人やUFOの描き方を、もっと工夫する。
他の惑星は登場させない。
この2つがあれば、評価はもっと高かったです。

他に疑問点もあります。
例えば、主人公は数字のメモをなぜ、警察などに持ち込んで説明しなかったのか?
地下鉄の場面では、テロ容疑者にまで誤解される始末。
自分一人で抱え込んでいる事態ではないはず。 行動が不自然でした。
ここは、「警察に駆け込んで一生懸命説明したが、変人扱いで相手にされない」などの場面があれば、納得もいく。
また結局、宇宙人の意図はなんだったのか?
災害を数字で予知し、未然に防ぐ目的であれば、50年間も封印されるカプセルに入れるメモに残すのは絶対おかしい。
とすれば、50年後、メモの信憑性を示したかったのか?
しかし、ニコラスケイジがそれを知ったところで、人類を救えるはずも無い。
どうも宇宙人の意図は不明のままだ。
ストーリー展開が十分に練り込まれていない。

CG、演出力、音楽、登場人物となかなか見ごたえがある作品だが、全体のストーリーの練り込み不足と、宇宙人・UFOの描き方、ラストの他惑星の登場などが、残念でした!
自分にとって100点満点ではないですが、なかなか高得点という感じです。
2010/1/18
TOMJFK

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