旧ソヴィエト連邦、スターリン在命時のプロパガンダ映画。
モスクワに迫るドイツ軍の侵攻をスターリングラード攻防戦で反撃に転じベルリン陥落までを描いた作品。
また、鉄工所の優秀な技師アリョーシャが捕虜に囚われた恋人ナターシャの奪回を誓うドラマを絡めている。
ドイツが敵対する連合国側の有力者とも通じ合っていたり、ソビエト以外は全員悪人というスタンスではあるが、ヒトラーやチャーチル含め我々が予想するほどには貶められてはおらず、ドイツ軍将校のエピソードなども交え、歴史的事実の軸から大きく逸脱することは無い。
スターリンは寛大で冷静で有能で親愛なる指導者として描かれてはいるものの、毛沢東のように誇大気味の神格化は全く見られず、さも上司にしたい有名人トップ1とばかりに描かれているのは意外。
粛清につぐ粛清によるイメージの回復を控えめに狙ったのかもしれない。
大戦車団含めた陸軍のロケシーンなど壮大でプロパガンダ映画の枠を超えたスケールに驚嘆するし、見応え充分。
追い詰められていくヒトラーがどうしても主役となってしまう点がなんとも面白い。
史上最高のヒールの魅力には、ソヴィエト連邦お抱えの監督も抗えなかったのだろう。