Mikiyoshi1986

修道女のMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

修道女(1966年製作の映画)
3.8
本日1月29日でちょうど一周忌を迎えたヌーヴェルヴァーグの巨匠ジャック・リヴェット監督。

彼が長編2作目に監督したこの宗教映画「修道女」は溝口健二「西鶴一代女」に影響を受けたと云われますが、
原作は18世紀のフランス人作家ドゥニ・ディドロ「修道女」にあり、またその内容は同国同年代のマルキドサド「ジュスティーヌ」をも想起させます。
当時のキリスト教会組織がどれほど腐敗し、世俗がどれほど退廃していたかを物語る苦難の告発シナリオ。

複雑な貴族家庭から半ば強制的に修道院に入れられ、純真さが引き起こす反抗ゆえに修道院内の実態とあらゆる辛苦がこの若き修道女シュザンヌに襲いかかります。
また志無き者が味わう非業と生きづらさは、我々にも課せられる普遍的テーマとも云えるでしょう。

そんな悲劇のヒロインを務めたのはゴダールと離婚して間もない頃の、瑞々しいアンナ・カリーナ嬢!
常に悲壮の表情を浮かべるアンナがまぁエロいことエロいこと。
彼女と数年でも夫婦になれたゴダールがうらやましいぜ。

そんなアンナが「気狂いピエロ」で共演したベルモンドも、ヌーヴェルヴァーグの父メルヴィルが監督した宗教映画「モラン神父」で主演。
そしてその「モラン神父」でヒロインを務めた大女優エマニュエル・リヴァが今月27日に亡くなられたそうで…。
人の命は本当に短く、儚いものだと年々実感していきます。
リヴェット、そしてリヴァ共々合掌。
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