ハマジン

サクリファイスのハマジンのレビュー・感想・評価

サクリファイス(1986年製作の映画)
3.0
近代文明への呪詛を延々独り言でつぶやく無神論者の男、エルランド・ヨセフソン。いざ核による世界終末の危機が訪れると、「動物的恐怖」から思わず神に縋り犠牲を誓ってしまう。タルコフスキー映画の主人公、Twitterとかやってたら秒で陰謀論にハマりそう。願いが叶った見返りに家に火を放ち(テーブルに椅子を一つ一つ積み上げていく執拗な動作に『台風クラブ』の三上クンを想起)、挙句キチガイ病院送りとなる。燃え盛る家を背後に右往左往する人間たちを遠景のパンでとらえた長回しの中、「待ってました」と言わんばかりのご都合主義的タイミングで救急車がフレームインしてくるくだりで爆笑した。神なき時代の人間喜劇として本作を見た。
グラスの微かな震えからジェット機の爆音にまでクレッシェンドしていく核戦争勃発時の音響には、不覚にもIMAXのCMが頭をよぎってしまいそこでも笑った。てかタルコフスキー、世紀を超えて生きてたら絶対IMAXカメラで映画撮ってたと思う。
海童道祖の尺八だの陰陽の紋付ガウンだの、そこかしこに出てくる謎のジャポニズムが本当に謎すぎてよくわからんかった。いくらなんでも日本に幻想を抱き過ぎではないか。
『ノスタルジア』に引き続き、「音源」を積極的に見せていくタルコフスキーのスタイル、嫌いじゃない。
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