◾️出会いが生み出す奇跡
お互い問題を抱える盲目の退役軍人と高校生の心の交流を描いたヒューマンドラマ。アル・パチーノは本作でアカデミー主演男優賞に輝く。
なんと言ってもアル・パチーノの名演が大変素晴らしいです。語弊のある言い方かもしれないが、本当に盲目の人物であるかのようでした。
一方で、目には見えない奥底の部分を見透かすような聡明さと威厳、そして悲しみを携えた非常に難解なキャラクターでもあります。
アル・パチーノにより息を吹き込まれたフランク中佐が放つ激情は、人生に絶望してしまった苦しみを痛烈に伝えてきます。
そんな彼とひょんなことから交流を深めていくことになるチャーリー。彼もまた将来を左右する大きな問題を抱えている中で、悩む時間もないままフランク中佐の唐突な行動に振り回されることになります。
年齢も立場も全く異なる二人がお互いの陰に少しずつ滲み寄る様には感動と温かみがあり、二人の関係性を決定づけたタンゴのシーンは作中屈指の名シーンです。
一方的に相手に影響を与えるのではなく、お互いが好影響を与える様から、人はなぜ一人では生きられないかを思い起こさせるきっかけになりました。
疑いようのないヒューマンドラマの傑作です。年末のこの季節にピッタリかも。
