Lila

セント・オブ・ウーマン/夢の香りのLilaのレビュー・感想・評価

4.0
アル・パチーノモードなので90年代、彼の代表作を改めて観てみました。これは若い時見てましたが、見たとて全く理解出来ていなかったなあ、と思うばかりです。

全方位で男性の色気炸裂のアル・パチーノ。有名なタンゴのシーンは選曲がエグい。あの音楽が脳内リピートしまくってます。最後のスピーチは見せ場だと思いますが、内容よりは、お互いがお互いのために存在できた事、その瞬間に喝采を貰えたこと、それが全てでしょう。

死ぬ理由は数え切れないほどあって。生きる理由を見つけることの方が難しくなった時。息子ぐらいの未来ある若者が全身でぶつかってきてくれたら。戦場で仲間の死に様を見てきた過去を償い、この子が言うならという理由だけで生きられると思えるのではないかな?と。孤独である事には変わりはなく、過去は変えられないけども、この子の未来は変えられる!って勇気を初めて持てたという伏線に感じました。

アル・パチーノには見えていない、クリス・オドネルの透き通るような初々しい青い目の色が届いているのではないかな、と思える凄まじい演技力。

歳を重ねてから観て、そんな風に思えるようになった自分にもびっくりです。歳を取るのも悪くない。

全体的に抑揚はなく、割と冗長で、小説を読んでいるような作品。直近邦画で言えば、ドライブ・マイ・カーに要された没入感に近いですね。好きな人は堪らないですが、このトーンが苦手だと敬遠されそう。

それにしても、タイトルがオシャレ過ぎます。華麗な色気ですね。アル・パチーノにお似合いです。
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