やぁま

セント・オブ・ウーマン/夢の香りのやぁまのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

アル・パチーノの演技が光る。
印象深いセリフがたくさんあった。
口は悪いし欲望に忠実で周りの人間を振り回しまくる自己中老害ジジイかと思いきや、自分の芯をしっかり持った誠実で深みのある人間だった。

実の兄家族との食事シーンは気まずさで胸がヒリヒリしてとてもしんどい、、あの空気は本当に地獄。
フランクは最初から歓迎されないのを分かっていて、自殺の後押しのために家族に会いに行ったのかな?それとも逆に踏み止まるきっかけが欲しくて希望を託して会いに行ったのか、、どちらだろう。

そして彼は兼ねてから女性への執着が物凄く、一見チャラついただらしない女好きかと思えば、実際の女性への接し方は至って紳士的。
相手の容姿に偏らず、声や香りを褒めたり、自分の見た目には気を配り、率先してエスコートしたり、女性の立場に立って接しているのがわかる。
「浮気は当たり前」の世の中を悲観していたり、後半チャーリーに告白した彼の願望の話から、本当はたった一人自分の側にいてくれる女性を欲している、とても誠実な男性だというのもわかる。
娼婦?の女性を斡旋して貰った翌日、極端に正気を失った様子から、結局どんなに美しい女を抱いても、事が終わると自分の隣から去ってしまうという現実が、より虚しさを増幅させたのだろうか、、
人である以上孤独や寂しさには抗えないし、お金じゃその穴は埋められないってことだね。

チャーリーがフランクの絶望を一掃するための大きなキーパーソンとなったのは分かるけど、あの言い争いだけで吹っ切れるもんだろうか、、
というよりハナから自殺することを望んでいなかったことに気づいた結果ということなのかな。
ともかく、ラストの演説シーンは本当に名シーン。スカッとするね!
自分が一番大事なのは誰だって当然のことだろうけど、過度な自己保身から他人を傷つけたり、裏切ったり、自分の信念に背く行為に何も感じなくなってしまったら、彼らの魂は消えたも同然ということだ。
やぁま

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