気難しい盲目の退役軍人フランクと、アルバイトで彼の世話をする事になった高校生チャーリーとの数日間の話。
原題は Sent of a woman ( 女の香り、香水 )なのに不必要な解説的副題が「夢の香り」となっているのは観ていくうちに分かってくる。
フランクは優秀な軍人としての矜恃があるが故に盲目という今の生活を空虚なもの、無駄なものとしてしか捉えられなくなっていた。
そして、それが尚一層彼を気難しい人間にしていた。
何と言ってもアル・パチーノの声の迫力と、「男は男らしくあるべき」という生き方にぐいぐい引っ張られて目が離せない。
遥か昔に観た時はクリス・オドネルのフレッシュな好青年ぶりに惚れ惚れし、アル・パチーノの凜とした姿、タンゴを踊るシーンに魅了された。
今回改めて鑑賞して、フランクの研ぎ澄まされた感性と強い信念だけでは無く、暗闇の中で生きる男としての哀しみが見え隠れしていたのが印象的だった。クリス・オドネルも涙し、アル・パチーノの目にも涙が光ったあのシーンの迫力は何度観ても凄い。
チャーリーの親代わりとして出席した懲戒委員会での演説「手や足と違って魂を無くしたら、もうその替えは無いんだ」というのは心に来る。
チャーリーのクラスメイトで若いフィリップ・シーモア・ホフマンも出ていて、その辺も見どころ。