さすらいの旅人

青い鳥のさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

青い鳥(2008年製作の映画)
3.7
★学校の登場から不気味な新任は厄介です
【VOD/WOWOWオンデマンド/配信視聴/ビスタサイズ】

最初全く観る予定がなかったが、作品の面白さにつられてラストまで一気見した。
観終わった後、この映画は西部劇「シェーン」型の作品と思った。主人公の派遣教師がどこからともなく現れ、そして問題を解決してサッと去っていくからだ。舞台はイジメによる自殺未遂があった中学校だ。すべて解決されたと思っていた教師と生徒たちは、この教師の出現で再度過去の問題に向き合うことになる。

教師役の阿部寛がいい。普通であれば自分の意見をガンガン言う熱血漢の教師が登場する。しかし、彼は吃音で相手にうまく話しを伝えることが出来ない言わば不器用な教師なのだ。ここがこの映画の見所であり、教師や生徒たちはこの異端とも言える教師に対して緊張感を持って接することになる。自殺の原因や加害者をめぐってのミステリーもあり、飽きさせないシナリオも秀逸だ。

現在大活躍中の若手である本郷奏多、仲野太賀、新木優子が中学生役で出演しているのが興味深かった。さすが子役とは言え演技がうまく、現在の地位を築いているのが良く分かる。特に本郷奏多は多感で反抗的ではあるが、
気の弱い中学生を演じておりキラリと光っていた。

イジメの映画は暗く重くなりがちだが、ニヒルな阿部寛が全体を引っ張って行くため、爽やかな青春映画になっている。そして、日本映画には少ない学園「シェーン」型アウトロー映画になっているため楽しめた。未見の方は阿部寛の秘策が感動的なのでお楽しみに。あと、阿部寛のお弁当が面白いので注目です。