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ソーシャル・ネットワークのincoのネタバレレビュー・内容・結末

ソーシャル・ネットワーク(2010年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

なんといっても序盤のバーでの会話、夜のキャンパスの雰囲気、ハッキングのシーケンスの早口と編集のテンポの気持ちよさ。あまりに好きすぎて序盤だけを繰り返し見た笑。

冒頭のエリカとの会話。早口でまくし立て、話題が右往左往し、話がまるで噛み合わず、罵られ破局する。 ザッカーバーグのクラブへの執着やASD/アスペルガーの性質が見て取れる。そしてエリカにフラれ忌み嫌われたことが、ザッカーバーグがFacebookを世界中に拡大する動機のひとつとなり、作品のエンディングまで尾を引く。

親友エドゥワルドはエリートのみが入会を許されるファイナルクラブの難関を突破。クラブ入会を切望するも、それと縁のないナードであるマークに嫉まれ、エドゥワルドは共同創業者としての地位を陥れられることに。ショーン・パーカーは登場早々にマークにとってのカリスマ的存在となり、いくつもの重要な助言を行い、フェイスブックの躍進に貢献する。しかし彼も最後には、マークにドラッグパーティの会場を警察に密告され、突き放される。

マークは自ら交友関係をリセットし、嫌われ者になろうと演じ、すすんで孤独を選択した様に見える。しかし、心の内では寂しくてしょうがないらしい。最後にはFacebook創業者として億万長者となったマークが、潜在的に執着し続けた元カノに友達申請をする。この情けなさがたまらない。ここには『市民ケーン』や『グッドフェローズ』のラストにも似た感慨深さ、というか愛おしさがある。

いまや2010年代、21世紀を代表する作品として評価されているけれど、フィンチャーがこの作品でオスカーを取れなかったのは残念(ハーヴェイ・ワインスタインのせい?らしい)。

✍脚本:アーロン・ソーキン「私が惹かれたのは、それこそ何千年も語り継がれてきた友情、裏切り、権力、階級、嫉妬……そういった古典的なストーリーに必要な要素が、この『ソーシャル・ネットワーク』にはすべて入っていたということ。こういったストーリーがこの21世紀の現代的な舞台で繰り広げられていたことに興味を持ったんだ」
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